ぐて書き 第三期

良いところも悪いところも全部ひっくるめて自分なんだから ここにぐて書きして記憶を残しておこう

好みの女

今日は街の図書館へ行った。
それなりに遠い。
電車を乗って時間をかけて。
 
ボクが座った向かい側には女の子がいた。
おかっぱで栗色の髪。
小柄でオーバーオールを着ていた。
小さな手には大きなカメラと文庫本。
 
なんていうか…………、
好みだと思った。
 
可愛くはなかったし、体型も子供みたいだった。
そんなもんはどうでもよかった。
彼女が手にしていたカメラと本が全てだった。
 
この時期だけかもしれない。
カメラに情熱を燃やしているのは。
数年後はスーツ着て一日中部屋の中かもしれない。
僕は彼女の「この頃」が好みなのだ。
 
図書館をパスしてもよかった。
声をかけ、彼女にお供するのもいいと思った。
 
だが恐かった。
一目惚れほど具合悪いものはない。
勝手に出来上がってしまったイメージを壊したくなかった。
勇気が出なかったのである。
 
ボクは自身の「好みの女」を知った。
情熱を感じる人。
好きなことに没頭してる人。
孤独になれる人。
 
今日見た彼女がそうじゃなかった時のショックは恐ろしい。
真実を知りたいのもあるが幻想を抱いたままでいたいのもある。
 
もちろん抱きたいのもある。
セックスによってパワーを引き出し合えそうな気がする。
オーガズムでのインスピレーションが湧いて出そうなのだ。
 
ちきしょう。
セックスにも恐怖を感じる。
彼女がマグロ女やったらシャレにならん。
求め合う中で激しい火花が飛び、汗となり愛の体液となり没頭する。
これがセックス。
今日見た彼女がそうじゃなかった時が辛い。
 
自分の現在(いま)を生きている女。
つまり、好きなことに情熱を注いでいる女。
それが好みの女。