ぐて書き 第三期

良いところも悪いところも全部ひっくるめて自分なんだから ここにぐて書きして記憶を残しておこう

死にかけてた先輩

一人の男と出会う。
歳は僕より上だろうから先輩と呼ぼう。
名前は聞いちゃいない。
お互いに名前は知らない。飲み屋で隣同士に座っただけだ。
 
会話の切り口は何だっただろうか?
いつの間にか外交の話へ。
知識不足でよくわかっちゃいないけど、実は今、その手の話で酒を飲みたい時期である。
誰かが言っていたが、『男の飲みの基本は差し飲みであろう』がここ最近よく頷ける。
文化の話から歴史の話、宗教と侵略、ヨーロッパとアジア、アメリカ……と中国とロシア。
 
右だの左だのとちっとも関心なかったら盛り上がりもない席だっただろう。
聞き覚えのない言葉の羅列では会話に楽しみがない。
お互いに感情の存在位置が近かったのだろう。
初めての感触だった。
 
何といえば伝わるのかわからないが、『大人の会話』
恥ずかしい表現になるけどぴったりな感触は『大人の会話』
今までこんな会話をしたことがあっただろうかな?  と思うほどだからそう感じるんだろう。
 
「それじゃ、僕帰ります。おやすみなさい」
さらっと帰ることができるのも大人の時間に思える。
情報ではなく知識で話した。そんな満足感があった。
 
もっともっとこんな会話がいつでも出来るように勉強しようと思う。
先輩には周りに沢山いるだろう。僕はいない。
決定的な大きな違いがある。
次に顔を合わせる時が楽しみなのだが、名前も知らないのだから安易ではない。
 
ただ、この方向に先輩がいるんだなとわかった。
きっとそこが僕の好みの世界であるのだろうと。
不思議な感覚だが、そんな先輩の様な方の役に立ちたいと思ってしまうのはどういう事だろうか。
血なのだろうか?
 
良き友になる為に学ばねばならぬ。
勉強は辛いもんだ……が、楽しめるぐらいの心意気を持たしてくれる出会いがある。
切断しない上手い具合いのタイミングで出会いが欲しいところ。
 
「普通は死んでるよ」な男がこうもざらにいると、自分の人生が大したことない様に思える。
だけど、そんなことは大したことじゃないらしい。
今日を生きることが大したことなのだと。