恥
雪が降る中で立っていた。
どうした事か、その日はやたらと待ちぼうける時間がたくさんあったように思う。
バスや電車の待ち時間。人との待ち合わせのズレ。
黙って立っていた。
寒かったけど、心の寒さに比べれば外気はさほど凍みはしなかった。
事情を飲み込めない人の心は誤解を生み、それが隙間となって風を通す。
こんなにも人の心とは狭いものなのだろうか?
そう感じずにはいられなかった。
一歩も動かずに待っていた時、同じく一歩も動かずに部屋で座っているご老人を想像してしまった。
生きている。たしかに時間と共に生きているのだが、楽しくはないし幸せでもない。
望めばあれやこれや願望は出てくる。
待つ楽しみはこれっぽっちもなかった。
理由は独りだからだと思う。
独りは寂しい。寒い。
雪の美しさと人工的な光と音がせめてもの慰め。
嫌いではない感覚ではあるが、望みはいくつか現実として味わいたいものである。
歩いている時と突っ立ってる時。
どちらも辛くはある。
心に余裕を感じてないからそう思う。
嫌々生きてたら辛いだけだ。
自分がたいした人間じゃないのはわかっている。
何をすべきか? 何が他より出来るのか? 何を活かせばよいのか? 何に活かせばよいのか?
掌に落ちた柔らかい雪の様に溶けて消えてしまう。
失い、手に入らないものだと錯覚してしまいがちだが、
恥を捨ててしまえばいい様に思う。
失敗するのも成功するのも同じ人間なんだ。
なんら恥じる事はないはず。
遅くなった今年の抱負になるけど、
「恥じる必要はない」
これしかない。