落花輪
春が過ぎ、夏も終わりに近づいてきた。
書く事を忘れて暮らしていた。
同時に読む事も忘れていた。
女にうつつを抜かし……。
まさにぴったりな表現だと思う。
セックスに溺れ、二人でいる事が精神を麻痺させる。
ある面を見ればとても充実した花畑だろう。
裏返せば「侘び寂び」が遠く離れ、甘ったるい香りの中にいる気がする。
それで全然かまわないのである。
まったく問題なんてないのである。
幸せである。
恰好良く表現するならば、「俺の中の獣が目を覚ました」
アホみたいだけどそんな感覚があったりする。
暴れ馬を鎖につないでたら、ついに引きちぎりだした様な感覚。
両手いっぱいにすくい上げてもね、甲についた水滴を飲もうと思う精神。
見えない部分……でも自分の手。
そんなところをしっかり見たい。
飯も寝床も女もそろっているのに何が足りないというのだ?
もっと色んな考えに触れたいと思った。
まだまだ出会っていない人と言葉を交わし、酒を交わし、脳に刺激を欲しい。
そして自分の道を一歩進みたい。
終われない。
心地好い寂しさに身を置き、そこに感じる美に触れたく想う。
未だ永遠に興味はない。
刹那に涙する自分でいたいので困る。
本を読み、映画を観る。
音楽と酒に酔い、女を抱く。
こんなんだからまいっちゃうよ。ほんと。