ぐて書き 第二期

良いところも悪いところも全部ひっくるめて自分なんだから、ここにぐて書きして記憶を残しておこう。

魔法

22日にカフェで一緒だった子と飲む。
予定だった。
前々からあやしいとは思っていた。(いい意味で)
彼女らは感動を求めて止まない20代前半。
サプライズが大好きなお年頃だ。
 
お店に着いた時、店員が『お連れ様ご来店です』と僕らを案内する。
…………やはり。
そこにはかつてのバイト仲間が10人。
ん〜、なんて気持ちのいい若者達なんだ。
僕はその手の感動に薄れてしまったのだろうか、込み上げるものはなかった。
感動はしたけど。
色紙まで貰っちゃってありがたい。
 
当初は静かに語る予定でいたが、こうなっちまったら飲みに徹しよう。
最近のハマリである日本酒に七味。綺麗な落ち葉酒。
男女の比率は7:3。
女の子にはそれぞれ事情というものがある。体調もある。
男にはない。飲めるなら飲めである。
こころの健康だ。
 
笑っていたかったからしめっぽさは無しであった。
彼らが興味ある20代後半の話は今日はやめておこう。
それぞれやってくる時間だ。この場で聞くもんじゃない。
時間もそこそこに店を出る。
勢い任せにカラオケだ。飲んだ歌った。記憶はおぼろげだ。
 
食事に誘ってくれた子が帰るとなる。
僕は彼女を途中まで見送ることに。なぜそうなったか覚えてはいない。
ここからが話の始まりだ。
 
もともと2人で飲むつもりだった。
彼女は自分に自信を持たなさ過ぎるといったところが気にかかる。
男女に関して自らを卑下する。『わたしなんか……』といったところだ。
僕にはそうは思えないし、晴れ晴れした顔で挑んでもらいたい。
男を知らないせいもあるのだろうか?
慰めはかけない。そんなのは必要ない。心配もいらない。

お別れといったのも手伝ったのだろう、彼女は泣き顔をみせようとしている。
僕はその顔を胸に引き寄せる。肩で抱いたといった方が正しいだろうか。
いやらしさなんてなかった。あやすような感覚だった。
返事しかできない彼女に投げかける言葉はどんなだっただろう。ほぼ忘れた。
ただ『キュートに光れ』と言ったのは覚えている。
 
『あんたはかわいいんやから、自分で思っている以上にかわいいんやから……』
キュートに生きるんだ。
今はまだ恥ずかしかったりするだけなんだ。
『男を好きになったら抱きあってみるんだな』
それぞれが変わるものが生まれてくるだろう。
悲しむことはなにもないぞ。
 
彼女の頭を胸から離し顔を見る。
顎をあげさせ目を閉じさせる。
そのまま唇を重ねる。魔法をかけるようなキス。
自分を信じることをしてほしい。
そんな意味合いを込めた口づけだった。
 
心を熱くさせるキスではないのだ……。
雨に濡れたアスファルトの様に黒く固く冷たい、だが潤っているキス。
心を潤わせるキスと表現できよう。
性欲でも恋愛のものでもない。そんなキスなかなかできない。
 
小雨が降る歩道橋の下、星がひとつ輝いた。